映画【生きてこそ】感想 極限の状況の中で、人間の尊厳とは何かを突きつけてくる良作
【 生きてこそ】
1993年5月公開
極限度 95
考えさせられる度 90
オススメ度 80
総合 83点
1972年10月13日にウルグアイの学生のラグビーチームとその家族や知人を乗せたチャーター機がアンデス山脈に墜落。極寒の山脈で72日後に生還した16人の事実を元に描いた映画。
1993年の公開当時、私は高校生でした。
だいたいのあらすじを見た時、自分だったら生き残れるだろうか?なんて事を考えながら見始めました。
しかし、冒頭でいきなりその考えは否定されます。
ジョン・マルコビッチが生き残った1人の役で、当時を振り返るナレーションから始まり
「多くの人が、私なら耐えられただろうかとか、どうしただろうかと言っていたが、全く無意味だ。あの時、あそこにいなければわかるはずがない。」
そう言ってこの映画は始まります。
まずここで、ガツンと一発喰らった感じがしました。
アンデス山脈の高度4200メートル地点で墜落したチャーター機。機体は前後真っ二つになり、45人いた乗員 乗客は生存者28人となります。
生き残った人も多くは怪我をしていて、夜中に怪我が痛くて泣いている女性に対し、
「いい加減にしてくれ!」と苛立ちをぶつけてしまいます。
その女性は翌日に亡くなっていて、大声を出した人は後悔する事になります。
そういえば、最終的に生き残るのは全て男で何人かいた女性はみんな死んでしまいます。体力の差なのかと思いました。
物語の中盤、生き残った人達はいよいよある決断を迫られます。
そこでは様々な意見が出て、「そんな事までして生き残りたくない」という人もいました。
長い話し合いの結果、最終的に生きる事を選ぶのです。
捜索が打ち切られ、自力で下山して助けを呼ぶ作戦を立ててた時に印象的なシーンがありました。
ナンド「決行は〇〇日だ。」
男「えっ 〇〇日はもう過ぎてるだろ。」
ナンド「来月の〇〇日だ。」
主人公のイーサン・ホーク演じるナンドは、こんな切羽詰まった状況でも実に冷静です。
墜落現場のアンデス山脈は南半球なので、11月より12月の方が雪が溶けて歩きやすい。
早く助かりたい という思いをグッと堪えて、より安全で確実な判断をします。そこまで考えて行動したので、16人が助かったのだと思います。
20年以上前の作品ですが、見応えのあるストーリーです。見た事ない人は一見の価値ありです。